イネ科花粉症ってお米が原因?詳しいアレルギー内容を解説
日本で一番多いアレルギー疾患である花粉症は、国内だけで約3000万人が罹患しているといわれています。
2023年には2人に1人が花粉症だと推定されており、現在もその数は増え続けているのです。
今回は、スギやヒノキに次いで多いイネ科花粉症について詳しく解説します。
スギやヒノキと比べると、あまり聞かないイメージがあるかもしれませんが、実はスギ花粉症よりも症状が強く出る傾向があるのがイネ科花粉症です。
あまり知られていないイネ科花粉症とは、どのようなものなのでしょうか。
イネ科の花粉症とは?
花粉症とは、体内に入った花粉によって体が起こす免疫反応です。
体内に入った花粉を異物とみなし、異物に対する抗体をつくります。
そして、再び花粉が侵入した時に排除しようとする反応です。くしゃみや涙が出るのはそのためです。
一般的に、花粉のピークは2月から4月といわれていますが、イネ科花粉のピークは5月から6月です。
その頃が最も飛散量が多いですが、実は年に2回もピークがあります。次のピークは、8月から9月です。
イネ科の植物は繁殖力が強いため、河川敷や道端、空き地や畑の周辺など日本の全域に生息しています。
さらに、イネ科の植物は種類が多く、それぞれ開花の時期も異なります。
一度、イネ科の植物のアレルギーを発症すると、他のイネ科の植物でも発症してしまうことがあり、かなり長い期間花粉症の症状に苦しめられることになる可能性があります。
イネ科の花粉症になると、どんな症状が出るの?
スギ花粉などと同じく、主な症状はくしゃみや鼻水、鼻づまりですが、イネ科の花粉症の方が目のかゆみや充血などアレルギー結膜炎の症状が強く出る傾向にあるといわれています。
また、イネ科の花粉症になると、口腔アレルギー症候群を引き起こしてしまいます。
口腔アレルギー症候群とは、果物や野菜を食べてから約15分以内に唇や口の中にかゆみや腫れ、イガイガ感などのアレルギー症状が現れる病気です。
イネ科の花粉に含まれる抗原物質と似ている抗原を持つ食べ物は、メロンやスイカ(ウリ科)、トマトやじゃがいも(ナス科)、キウイ(マタタビ科)、オレンジ(ミカン科)、ピーナッツ(マメ科)です。今挙げた野菜や果物を食べた後に口の中がイガイガする人はイネ科花粉症の可能性があります。
お米の稲が原因ではない?
イネ科と聞くと、真っ先にお米の稲が思い浮かぶかもしれませんが、お米が取れる稲は関係ありません。イネ科花粉症の人がお米を食べても、アレルギー症状が出る心配はないんです。
厚生労働省が定めるアレルギー物質を含む「特定原材料等」にお米は含まれていないので、アレルギーを起こしにくい食べ物と言えるでしょう。
お米の稲に反応する方もいますが、原因となる植物の多くは海外から輸入された牧草です。特に、イネ科花粉症の原因になりやすいとされているのは、カモガヤです。
スギ花粉のように広範囲に飛散することはなく、イネ科花粉は数十メートルから数百メートルといわれており、近づかなければほとんど影響はないといえます。
イネ科花粉症ってお米が原因?詳しいアレルギー内容まとめ
二十年前と比べると、罹患者が倍以上増え、今や花粉症は国民病です。
政府が「花粉症緩和米」の開発を本格化させ、今年度中には国内の医療機関で臨床試験を開始するといわれているほどです。
スギの花粉症だから、イネ科の花粉症にはならないというわけでもありません。ゴールデンウイークを過ぎても花粉症の症状が続く場合には、イネ科花粉症かもしれません。
今、花粉症ではないという方もいつ発症するかわからないので、春先にはマスクをする、眼鏡をかける、帽子をかぶるなど、対策をしておくといいかもしれません。
すでに花粉症という方も、早めの対策をして花粉の時期を乗り切りましょう。