お米を噛む?口噛み酒の不思議な製法とその魅力

お米を噛む?口噛み酒の不思議な製法とその魅力

「口噛み酒(くちかみざけ)」という言葉を聞いたことがありますか?

これは、古代日本から伝わる独特な製法で作られる酒です。

少し前になりますが、あの有名アニメ『君の名は。』にも登場し、一躍話題となりました。

映画の中で見た神秘的な製法に興味を持った方も多いのではないでしょうか?

今日は、そんな口噛み酒の不思議な製法とその魅力について詳しくご紹介します。

口噛み酒はどんなものだったのか

口噛み酒とは、古代から続く独特な製法で作られるお酒です。

穀物やイモ類、木の実などのデンプン質の原料を口に入れて噛み、それを吐き出して容器に貯め、自然発酵を促します。

唾液中のアミラーゼという酵素がデンプンを糖に分解し、その糖分を自然界に存在する酵母がアルコール発酵することでお酒ができます。

この製法は、日本だけでなく、東南アジア、中南米、アフリカなどでも見られました。

日本における口噛み酒

日本では、縄文時代後期以降に口噛み酒が作られていたと考えられます。

『大隅国風土記』には、村全体で米を噛んで酒を作る様子が記されています。

また、沖縄では、蒸留酒である泡盛が普及する以前は、口噛み酒が一般的で、祭事用に作られていました。

身を清めた女性たちが米を噛んで唾液と混ぜ、それを発酵させて作られていました。

沖縄では、こうした酒を「ウンサク」や「ミキ」などと呼び、「神酒」としての意味合いを持っていました。

世界各地での口噛み酒

口噛み酒の文化は、日本だけでなく、中南米やアフリカなどの地域でも見られました。

中南米では、大航海時代以前から広範囲にわたって口噛み酒が作られており、アマゾンの低地やアンデス高地では現在でも製造されています。

原料としては、トウモロコシやキャッサバが主に使用されていました。

こうした世界各地の口噛み酒は、それぞれの地域で独自の文化と結びつき、発展してきました。

お米を噛む?口噛み酒の不思議な製法とその魅力2

口噛み酒の製法

口噛み酒の作り方は非常にシンプルです。

まず、蒸した米を一口ずつ噛み、唾液と混ぜ合わせます。

この過程で、唾液のアミラーゼが米のでんぷんを糖に変え、発酵が始まります。

噛んだ米は器に入れ、数日間放置して発酵を進めます。

この過程でアルコールが生成され、独特の風味が生まれます。

映画「君の名は。」では口噛み酒がどのように描かれていたのか

アニメ映画『君の名は。』では、口噛み酒が重要なアイテムとして登場します。

映画の中で、主人公の三葉は神社の巫女として口噛み酒を造り、それを神様に捧げます。

物語の中で、口噛み酒は時空を超えて主人公とヒロインが出会うための重要なアイテムとして描かれていました。

現在も口噛み酒を作っている地域はある?

一部の地域では、現在でも口噛み酒を作る文化が残っています。

例えば、アマゾンの一部地域では、今でも口噛み酒が作られ、飲まれていることが知られています。

これらの地域では、伝統的な製法が維持され、文化の一環として口噛み酒が受け継がれています。

製法としては、砕いた芋を一度口に含んで器に戻します。その後発酵させたら完成です。

アマゾンでは、現在でもこうした伝統的な口噛み酒を体験することができます。

お米を噛む?口噛み酒の不思議な製法とその魅力まとめ

本日は、口噛み酒についてご紹介しました。

いかがでしたか?「製法に驚いた」「飲んでみたい」「どんな味がするのか気になる」など、さまざまな感想があると思います。

気になる味というと、甘みと酸味が特徴的だと言われています。

残念ながら、現在日本では口噛み酒の製造は行われておらず、その味を実際に体験することはできません。

しかし、この古代の知恵と伝統に思いを馳せることで、当時の人々の生活や文化に触れることができるのではないでしょうか。