皇居の田植えがつなぐ日本の米の心

毎年春、天皇陛下がご自身の手で苗を植えられる行事があります。

2025年は5月14日に、皇居内の生物学研究所脇にある水田で田植えが行われました。

これは、単なる伝統行事ではなく、日本人が古くから大切にしてきた自然への敬意や米への思いを今に息づかせています。

皇居の田植えは、現代を生きる私たちに、食べることのありがたさをあらためて感じさせてくれる特別な機会です。

皇居で行われる特別な田植え

皇居で行われる特別な田植え

1972年6月14日に昭和天皇が初めて田植えをされてから、平成、令和へと代を重ねて受け継がれてきました。

この行事は、稲の恵みに感謝し、豊かな実りを願う大切な儀式です。

昭和天皇は田植えと稲刈りをされていましたが、上皇陛下は田植えの前に種もみをまく「お手まき」を始められました。

それ以降、春に種まきを行い、田植えを経て秋に稲を刈り取るという、一年を通した米づくりが行われています。

このことから、皇室がどれほど米づくりを大切にされているかが伝わってきます。

機械化が進んだ現代において、天皇陛下が一株ずつ丁寧に苗を植えられる姿は、自然と真摯に向き合い、米を尊ぶ日本人の心そのものです。

米づくりに宿る日本の心

日本人にとってお米は、単なる主食ではありません。

大地の恵みをいただきながら、人々が力を合わせて育ててきた命の糧です。

稲作が始まった弥生時代から、人々は田んぼを中心に暮らしを営み、季節の移り変わりとともに生きてきました。

種をまき、苗を植え、稲を刈る。そのひとつひとつに自然に対する敬意と祈りが込められています。

皇居での田植えは、そんな昔ながらの日本の米づくりの精神を継承するものです。

一粒の米に込められた感謝と祈りは、今も私たちの暮らしを支える日本の心といえます。

皇居の稲作の一年

皇居の田んぼでは、一年を通して稲が育てられています。その様子を表にまとめました。

時期作業内容
2月祈年祭(きねんさい)春の農作業を始めるにあたり、秋の豊穣を祈願する
4月種まき・天皇陛下ご自身で種もみをまかれる
・品種はニホンマサリ(うるち米)とマンゲツモチ(もち米)
5月田植え皇居の水田で自ら苗を植えられる
9月稲刈り・陛下が鎌を使って収穫される
・実りに感謝する行事
11月新嘗祭(にいなめさい)収穫したお米を神々に捧げ、国と人々の幸せを祈る

2月の祈年祭と11月の新嘗祭は、いずれも農耕文化に基づく重要な宮中祭祀です。

祈年祭で五穀豊穣を祈り、新嘗祭ではその実りに感謝します。

収穫されたお米は宮中祭祀で用いられたり、伊勢神宮に奉納されたりし、新嘗祭では陛下ご自身も召し上がります。

こうした自然の力を尊び、手間を惜しまない姿勢こそ、日本の米づくりの原点です。

田んぼが教えてくれること

皇居での田植えを目にすると、私たちが本来持っている自然に対する畏敬の念や、食へのありがたみを思い出すことができます。

教育の現場でも、食育活動の一環として田植えや稲刈りに取り組んでいる小学校は少なくありません。

子どもたちは農業体験を通して、食べ物のありがたさや命のつながりを身をもって感じます。

こうした取り組みは、皇居の田植えが伝える「日本の米の心」が、社会全体に受け継がれている証です。

一粒の米にこめられた想い

皇居の田植えは、時代が変わっても続く祈りの行事です。

種をまき、苗を植え、稲を育て、実った米を神々に捧げる。そのすべての過程に自然への敬いと人々の幸せを願う心が込められています。

私たちが毎日食べる一粒のお米には、長い歴史と多くの人の思いが宿っています。

皇居の田植えは、そんな「日本の米の心」を未来へと伝えていく、大切な文化です。

これからも、この伝統は受け継がれていくでしょう。