食べるだけで花粉症改善?緩和米の可能性を調べてみた!

毎年、春先になると多くの人を悩ませるのが花粉症です。

くしゃみが止まらなくなったり、目が痒くなったり、花粉症の方は外に出るのが億劫になってしまいますよね。

今や、花粉症は二人に一人が患っているという、国民病です。

こうした状況を踏まえ、政府も花粉症対策を重点政策のひとつとすることを決定しました。

その中で現在開発中なのが、花粉症を緩和する『緩和米』です。

今回は、まだあまり知られていない『緩和米』について詳しくご紹介します。 

緩和米とは

実は、緩和米は農林水産省が管轄する農業・食品産業総合研究機構が2000年度から開発を進めています。

緩和米は、どのようにしてつくられるのでしょうか。

遺伝子組み換え技術を使い、花粉症の原因物質の一部をつくる遺伝子を組み込んだイネを栽培します。

原因物質は収穫したお米のたんぱく質「PB1」に蓄積されるので、花粉が飛散する数ヶ月まえから毎日この緩和米食べることで、徐々に体が花粉に慣れていき、シーズン中の症状を抑えることが期待されている、というものです。

お米のたんぱく質に含まれる「PB1」は、胃で消化されにくく、腸で吸収されるという特徴があります。

腸には多くの免疫細胞が集まるため、スギ花粉に反応しやすい体質に改善できるのではないかとされています。 

緩和米の効果

東京慈恵医科大学によると、少人数ではあるものの、パックに詰めた緩和米を食べるという臨床試験を行ったところ、シーズン中のくしゃみが減るなど、アレルギー症状が緩和されたという結果が得られています!

毎日食べるお米を緩和米に変えるだけでアレルギー症状を緩和できたら、こんなにうれしいことはありませんよね。

花粉症を患っている方は、一刻も早く商品化してほしいところですが、それにはまだ課題があります。

専門家の見解

人による臨床試験の結果も得られているのに、なぜ未だに商品化されていないのか。それは、緩和米が食品ではなく「医薬品」だからです。

 厚生省が緩和米を医薬品と認定したきっかけは、スギ花粉を含む健康食品を摂取した女性がアナフィラキシーショックで意識不明になったからでした。

 このことから、厚生省は「スギ花粉を含む製品」を薬事法に定める医薬品に該当するという見解を示しました。

 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー会理事長である日本医科大学大学院教授も「スギ花粉が含まれている以上、アナフィラキシーが起きる可能性は否定できない。花粉症の予防や治療を目的としているのなら、医薬品とすべきだ」としています。 

緩和米の将来性

現状では「医薬品」とされている緩和米ですが、農研機構は食品として食べても問題がないよう、実験や研究を続けています。

緩和米はお米なので、薬と違って飲み忘れもなければ病院に通う必要もなく、体の負担や副作用も少ないといわれています。

アレルギーの原因となるアレルゲンを食べることで、症状を改善する治療法を「減感作療法(アレルゲン免疫療法)」と呼びますが、毎日スギ花粉の一部を組み込んだご飯を食べることで減感作療法になり、花粉症を根治させることが可能になります。

緩和米が食品として実用化されれば、アメリカでビタミン不足の対策として開発された「ゴールデンライス」のように、多くの人を救うお米になるのではないでしょうか。 

食べるだけで花粉症改善?緩和米の可能性を調べてみた!まとめ

花粉症による労働力低下により、一日の経済損失額は2215億円という試算もあり、花粉症を含む医療費は年間4000億円にのぼります。

緩和米が実用化されれば、労働力のアップや医療費の削減に繋がるはずです。

今回は、多くの可能性を秘めた花粉症緩和米についてお届けしました。

食品として商品化されるのか、今後の研究開発に期待しましょう! 

「イネ科花粉症ってお米が原因?詳しいアレルギー内容を解説」の記事にて、稲アレルギーの方がお米を食べるとどうなるのかについて解説しています。

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